仕事と芝居と私

日々のインプットを忘れないため。また、少しでもこちらで発信した内容が誰かの力になったらと願って、綴らせて頂きます。

【書籍:高萩宏さん】僕と演劇と夢の遊眠社

 あともう少しで読み終わります。80年代の小劇場文化の礎を作った夢の遊眠社。そこで大学時代から野田秀樹さんの隣で制作として全力でぶつかっていった高萩さんの実録、基軸を一から拝読させて頂きました。

 今まで役者の視点しかなかった私にとって制作という全く別の視点から公演を行うことについて考える機会を頂きました。

 野田MAPといえば、日本でも数少ない役者がギャラをちゃんと受け取れるマネジメントが行き届いた劇団として有名ですが。夢の遊眠社が立ち上がったころは、劇場を確保するのも一苦労で、特に野田さんや役者、またマネジメントしている高萩さん本人のギャラをどのように設定するかで高萩さんが長らく悩まれ、苦労されていたことを知ることができました。

 劇団をどう大きくしていくか。役者をどう売り込むか。劇場をどう確保するか。スポンサーをどう確保するか。などなど、劇団設立からの問題と対応方法について具体的に知れる制作のバイブルのような本でした。

 

 私がこの本を手に取ったきっかけは、現在長野市の飲食店を使って芝居ができないかと考え始めたのが、事の発端でした。もっと、制作について学び芝居を企画し、実現させるとはどういうことか知りたかったのです。

 小劇場時代からの流れなのか。どうしても芝居をうつとなると、「芝居をさせてもらう。」という意識が強いように思います。けれど、現在のようにヴァーチャルの情報が溢れている時代では、むしろ芝居・演劇のようなコンテンツを使って、商品やお店の宣伝をすることは価値があると考えています。

 また、現在コミュニケーション能力の不足をよく耳にしますが、これについてもテキストを読むよりも、一対一のエチュードをやるなど芝居で短期的に改善する方法・可能性が大いにあると考えています。

 上記の内容を受け入れやすくするためにも、長野市の飲食店で芝居をすることには意味があり、今後の長野市の演劇を芸術を文化を盛り上げる柱になってほしいと思います。また、長野市で始めたことをきっかけに長野県や全国でショービジネスに対する考え方が変わっていってほしいと思っています。

 そのためにもこの本を熟読して、制作に対する考えの軸を作っていきたいと考えています。この本を読んで産まれたアイデアを形にしていきます。